「認知症について」
2018年12月27日 12:00
1.認知症ってどんな病気?
(1)認知症とは?
認知症とは、何かの病気によって脳の神経細胞が壊れたために、生後いったん正常に発達した記憶や言語などの認知機能が慢性的に減退・消失することで、一人では日常生活に支障を生じる状態を指します。
(2)認知症の種類は?
認知症は主に「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」「脳血管性認知症(まだら認知症)」の4つに分けられます。このうち最初の3つは、脳の神経細胞がゆっくりと壊れていく変性疾患です。4つ目の「脳血管性認知症」は脳梗塞や脳出血によって脳の血流を障害されることが原因です。
(3)認知症の症状は?
①認知症の中核症状と周辺症状
認知症の症状は、2つに分けられます。1つは、脳の細胞が壊れることによって直接起こる中核症状です。もう1つは、本人がもともと持っている性格、環境、人間関係などさまざまな要因がからみ合って起こる行動・心理症状です。
ここでは中核症状について説明します。
・記憶障害…新しいことを記憶できずに、さきほど聞いたことさえ思い出せなくなっていきます。進行すると、覚えていたはずの記憶も失われていきます。
・見当識障害…見当識とは日付、時間、場所、自分の置かれている状況などを認識する能力です。まず、時間や季節感の感覚が薄れていきます。進行すると迷子になったり、遠くに歩いて行こうとします。さらに進行すると自分の年齢や人の生死に関する記憶がなくなり周囲の人との関係がわからなくなります。
・理解・判断力の障害…考えるスピードが遅くなる、二つのことを同時にこなせなくなる、些細な変化やいつもと違う出来事で混乱を来しやすくなるといった障害が起きます。
・実行機能障害…頭の中で計画を立て、予想外の変化にも適切に対応してスムーズに進めることができなくなっていきます。
・感情表現の変化…周囲からの刺激や情報に対して正しい解釈ができなくなってしまい、ときとして周囲の人が予測しない、思いがけない感情の反応を示します。
②認知症の種類と特徴的な症状
認知症の種類によって現れやすい症状はそれぞれ違うと言われています。
・アルツハイマー型認知症
→物盗られ妄想…自分がなくした物をなくしたことを忘れてしまい、被害妄想から物を盗られたと訴える症状です。
・レビー小体型認知症
→幻視、パーキソニズム…そこに存在しないものが、はっきりと存在しているように見えてしまう症状が幻視です。パーキソニズムは、主に安静時振戦(何もしていない時に体の一部が細かく震える)、固縮(体がこわばりスムーズに動けない)、無動(動きが鈍くなる)などの症状をさします。
・前頭側頭型認知症
→人格変化、行動異常…欲求への我慢ができなくなったり、他人や物事への興味がなくなるという症状が出現します。
・脳血管性認知症
→まだら認知症…時間や状態によって、認知症が出現する場合と、出現しない場合が混在してしまう症状です。
(4)認知症の診断について
認知症は先程説明した症状のいずれかに当てはまるからといって、すぐ認知症と決められるものではありません。うつ病やせん妄など、認知症と似た症状が出現する病気もありますし、加齢などにより個人の性格が問題行動に影響している場合もあります。
不安な場合は、病院を受診されることをお勧めいたします。最近では、物忘れ外来がある病院も増えています。専門の医師の問診、認知機能検査、画像検査などを通して、認知症の有無や種類の鑑別がなされます。もし認知症と診断されても、今後の生活についてアドバイスが得られ、治療により症状を軽くしたり進行を遅らせることができるので、早期発見、早期治療が大切です。
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