もの忘れと認知症はどう違う?
2025年6月 5日 08:45
歳を重ねるごとに増えていく、「もの忘れ」。日々、「あれ?あればどこにしまったかしら?」「私は今何をしようとしていたのかしら?」と思うことが以前より増えたと感じる方もおられるかもしれません。
では、「もの忘れ」は、認知症によっておこる「記憶障害」とはどう違うのでしょうか。
加齢による「もの忘れ」と認知症による「記憶障害」の違いの一つに、忘れたことに対する自覚の有無があります。例えば、「夕食に何を食べたか思い出せない」という場合なら加齢による「もの忘れ」。「夕食を食べた」ということ自体を忘れているのが認知症による「記憶障害」です。
人が何かを覚えて思い出すには「記銘」、「保持」、「再生」の3段階の一連の流れがあります。
「記銘」とは、経験を覚えることです。「保持」は、「記銘」した経験を脳の中に蓄えておくことです。「再生」は、「保持」した経験を思い出すことです。
加齢による「もの忘れ」は、3つの段階の「再生」に失敗している状態です。基本的には記憶自体は脳内に保持されていて忘れたようでも何かのヒントやきっかけで思い出せます。
一方、認知症による「記憶障害」になると、最初の段階の「記銘」の機能が低下し、「保持」もしづらくなり、経験したはずのことをすっかり消えてしまうことが少なくありません。
そのため、親しい人の顔や名前を忘れたり、さっき話したことを忘れて同じ話を何度も繰り返したりすることが起こりやすくなります。
こういったことが増えてきたら認知症の症状の表れの可能性がありますので、異変を感じたらかかりつけの医師などに相談をしましょう。
参考文献:吉田勝昭監修 「家族が認知症になったときに読む本」コスミック出版 2019年