声かけ②
2019年12月28日 13:44
それでは前回、声かけ①【①介護現場での声掛け/②認知症の方への「声かけ」や接し方】
より、つづきまして声かけ②スピーチロックをご案内致します。
③スピーチロック
スピーチロックとは、言葉による身体拘束を指します。
言葉による身体拘束とは、言葉かけによって利用者の行動を制限することです。
たとえば、利用者から「トイレに行きたい」とお願いされた時に、「ちょっと待って」と言って、なかなか対応しなかったり、ベッドから降りようとしているのに「危ないから降りないで」と言って、自分の意思で降りられないようにしたり、椅子から立ち上がろうとした時「立たないで」と言って制止したりするとことが当てはまります。
スピーチロックは「ベッド柵で四方を囲んで自分で降りられなくする」とか、「車いすに縛りつける」といった、物理的な身体拘束ではないため、意識が薄くなりがちです。
ですから、介護現場では知らないうちに、言葉による身体拘束をしているケースが多くなりがちです。 しかし職員の数が限られており、同時に複数の利用者から頼みごとをされた際、待っててもらうしかないよね?といった反論があると思います。すべての利用者に合わせることは、非常に難しいのが現状です。ですから「ちょっと待っててください」ということ自体が即身体拘束に当たるわけではありません。では、スピーチロックになるケースとならないケースの違いはなんでしょうか。
スピーチロックになるケースは先にも書いたように「ちょっと待ってね」と言ったきり、いつ対応してもらえるかもわからない。場合によってはそのまま放置するようなケースが該当します。利用者がその言葉からどんな印象を受け、どんな感情になったかが重要です。
利用者は自分の意思で行動できない状況を強いられていると考えられるからです。
スピーチロックに該当しないと考えられる対応としては「○○○の用事を済ませて5分後にお伺いしますのでそれまで待っててもらえますか?」というように、いつまで待てばよいか明確に利用者にわかるようにし、待ってもらう理由も伝え了承をもらうことが大事です。もちろん、その約束が守られるということが前提となります。
利用者の行動を制限する目的でなければいいですが、意図がなくても結果的に身体拘束になっているケースがあります。また話す速さや、声量、話すときの態度などで印象が全く違ってきます。使う言葉を変えるだけでは不十分です。安易に利用者を待たせることは、避けなければなりません。
いかがだったでしょうか?介護の現場だけでなく、日常生活での相手を思いやる「声かけ」が信頼関係を築く第一歩ではないでしょうか。