春の訪れ~桜について~
2022年4月 5日 08:44
桜の成分
桜はバラ科スモモ属(サクラ属)の樹木で、多くが熱帯から北半球の温帯に広く分布しています。全世界で約800種が確認されており、日本ではヤマザクラやオオシマザクラなどの9種の野生種と、野生種を交配し改良してできたソメイヨシノなどの人工種が300種ほどあります。
桜から香るほんのり甘い独特の匂いは、クマリンという成分が由来です。花や葉、枝や幹に含まれていますが、普段は糖類とくっついた配糖体と呼ばれる状態で、この状態では匂いを放ちません。花や葉を塩漬けにすることで糖が分離し、クマリン特有の香りが漂うようになります。香りの成分にはベンズアルデヒド、アニスアルデヒドなどもありますが、町に多く植わっているソメイヨシノではそれらの香りが弱いため、嗅ぎ分けることが難しいです。
調理法
花の塩漬けの多くは、ヤエザクラの花を使用しています。六~八分咲きのときに摘まみ、塩と白梅酢で一週間ほど漬け込んで作られます。花弁は塩漬け以外にも、結納などのお祝いの席で飲まれる桜茶や桜のあんぱん、ご飯と炊き込んで作る桜ご飯などに用いられます。
葉の塩漬けには、オオシマザクラが使われます。オオシマザクラは香りが強く、毛羽が少ないので口当たりが柔らかいことが特徴です。桜の葉の塩漬けの多くは静岡県で作られ、葉の塩漬けのほとんどが桜餅に使用されます。桜餅の他には、白身魚を道明寺粉と桜の葉っぱと蒸して出汁をかけて作る桜蒸しという料理に使用されることがあります。
春色おにぎり 【材料4人分】 |
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・ご飯(温かいもの) | 640g | ・たくあん | 40g |
・グリーンピース | 50g~60g | ・八方だし | 適量 |
・桜の花の塩漬け(市販) | 8コ | ・塩 | 適量 |
・ブロッコリー |
50g |
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八方だし【A】 |
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・だし 1050ml(カップ5+1/4) ・みりん 75ml(カップ約1/3) ・薄口醬油 75ml(カップ約1/3) |
■前日準備
①鍋にAを合わせ、強火にかけて煮立てる。煮立てた後は火を止めてそのまま冷ます。
②塩少々を入れた熱湯でグリーンピースを茹で、冷水にとる。水気を切って容器に入れ、
①で作った八方だしをひたひたに注いで冷蔵庫に入れる。
③ブロッコリーは①の熱湯で少し硬めに茹でてザルに上げ、粗熱をとる。小房に分けて容器に入れ、八方だしをひたひたに注ぐ。たくあんは4~5mm角に切る。どちらも冷蔵庫へ入れる。
■当日
①桜の花の塩漬けは水に浸す。花が開いて塩が落ちたら取り出して水気を切り、ガクを残して茎を切り落とす。
②ブロッコリーは汁気を切り、粗く刻む。ボウルにご飯を入れ、汁気を切ったグリーンピース、たくあんを加えてまんべんなく混ぜる。ブロッコリーを加えたら、サックリと混ぜる。
③8等分にして好みの形に握り、表面に桜の花を軽く埋めて完成。
こぼれ話『桜餅の原型』
一説には江戸長命寺門番、山本新六が桜の葉を集めて塩漬けにし、この葉で餅をくるみ、花見の席で売り出したのが発祥と言われています。