新型コロナウイルスによる老人の健康二次被害
2022年4月27日 09:00
新型コロナウイルス感染症の感染対策として三密(密接、密集、密閉)を避けることが叫ばれています。
しかしながらただでさえ孤立しがちな老人にとって、感染対策は身体活動や社会活動を大きく制限することになります。
内閣府によりますとコロナ禍において約半数の老人に、筋肉量の減少・握力低下・滑舌悪化の報告がされています。
これらの身体機能の低下は運動不足と重なり、認知症の大きな増悪因子となります。
身体機能の低下と認知症の進行が進むと死亡リスクが高くなり、コロナ感染症のハイリスク群である高齢者を守ろうとすればするほど、二次健康被害による死亡リスクを高める可能性がでてきます。
今までに経験したことのない二つの相矛盾する対策をどうするか、日々知恵を絞っているところです。
新型コロナ感染症による健康二次被害をコロナフレイルと呼び感染対策と同様にその予防が叫ばれていますが、現実的には感染対策により重点が置かれているのが実情です。
日本の歴史を振り返りますと、海外交流がさかんになると感染症のパンデミックが発生するという歴史を繰り返しています。グローバル化の時代、たとえ新型コロナ感染症が終息したとしても新たな感染症が待っていると思われます。
高齢者を見守る立場の人間として、感染症対策と高齢者のフレイル対策という一見矛盾した対策をいかに両立させるか、日々知恵をしぼりつつ、さらなる研究が待たれるところです。
(医師:平石 禎子)