ポジショニングについて【拘縮予防のためのポジショニング 】
2024年2月28日 08:51
拘縮(こうしゅく)とは寝たきりや長い間身体を動かさないでいると、筋肉や関節周囲の軟部組織が伸縮性を失うことにより関節が硬くなり動きが制限されることです。拘縮が進むと、より身体が動かしづらくなってしまい、ADL(日常生活動作)の低下につながります。そして、それがさらに拘縮を助長させてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
拘縮を進ませない、やわらげるために大切なのが「ポジショニング」です。クッション等を活用し、筋緊張を緩和できるように支えてあげることが、よいポジショニングのポイントです。
〇ポジショニングの目的
・ 接触面積を増やすことで、体圧を分散させて姿勢の安定を図る。褥瘡の悪化・予防を防ぐ。
・ 皮膚表面の通気性を確保する(皮膚同士の接触を避ける)
・ 関節拘縮の悪化を防止する
ひざ裏にすき間があると不安定になり、足の筋肉が緊張して拘縮につながります。
大きなクッション、もしくは小さなクッションや座布団、タオルなどを組み合わせて、すき間なく埋めましょう。
片足のひざとかかとをもち、足のつけ根を深く曲げます。
深く曲げることによって、固まった下肢がスムーズに動きやすくなります。
曲がったまま固まっているひざを「無理にひざをのばす」行為はNGです。
〇ポジショニングで注意すること
①ゆがみや筋緊張を把握する
ポジショニングの基本としては、まず患者の身体にどのようなゆがみや筋緊張があるのかを把握する必要があります。ゆがみの有無の判定では、肩や股関節、膝、足先など左右の関節を線で結んで体軸に対して垂直かどうかを確認します。
②頭部から足側への順番で体位変換を行う
体位変換が必要な場合、頭部側から足側へと順番に動かすようにします。いきなり動かすと患者が驚いたり、不安に感じたりしてしまいます。体位変換では最初に向けたい方向に頭部を動かし、次に肩関節や骨盤を支えながら動かします。最後に足の位置を整えます。
③残留したズレを解除する
褥瘡発生の大きな要因の1つに、身体を動かした際に生じる「摩擦」と「ズレ」があります。身体を動かした後は必ずズレを解消する「背抜き」があります。
背抜きを実施することで、寝具などのしわが解消され患者の筋緊張の緩和にもつながります。
④重力を利用して拘縮を予防する
腕や足が拘縮している場合、無理に伸ばしたりすると骨折する可能性があります。拘縮があるときは、重力を活用することが重要です。ポジショニングピローを挿入するときには、どのような方向にすれば重力がうまく利用できるかを考慮してください。
⑤同一姿勢保持は最初の段階では短時間とする
筋肉が十分機能しないことが多い高齢者は、一部分の筋肉に過度の負担がかかる場合があります。身体への影響を観察しながらポジショニングを実施してください。