リハビリコラム「認知症についてその② 軽度認知症(MCI)と予防方法」
2016年11月16日 12:00
認知症かな?「もの忘れ」と「認知症」の違い
誰でも年齢とともに、もの覚えが悪くなったり、人の名前が思い出せなくなったりします。こうした「もの忘れ」は脳の老化によるものです。
「もの忘れ」では、忘れっぽいという自覚がありますし、体験したことの一部しか忘れません。しかし、「認知症」では忘れた自覚がなく、体験したことを丸ごと忘れてしまいます。例えば、「もの忘れ」では食べたメニューは忘れても食べたこと自体は覚えていますが、「認知症」では、 食べたこと自体を忘れてしまうことがあります。
軽度認知症(MCI)とは?
軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)は、健常者と認知症の中間にあたるグレーゾーンの段階で、「軽微な認知機能の低下は認められるが、日々の日常生活では自立した状態」を指します。
軽度認知症の人の数は?
厚生労働省は、認知症とその予備軍とされる軽度認知症の人口は862万人存在すると発表しています。これは65歳以上の4人に1人です。
軽度認知障害(MCI)の症状は?
前回にお伝えした認知症の中核症状(記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害、実行機能障害)のうちいくつかがみられ、以前とは少し違ってきているけれども日常生活上では特に支障のない状態です。
軽度認知症になるとどうなるの?
軽度認知症を放置すると、認知機能の低下が続き、5年間で約50%の人は認知症へとステージが進行すると言われています。
軽度認知症かな、と思ったら?
早期診断によって適切な治療を受ければ、認知症の発症を防ぐことができます。
そのため、軽度認知症の段階で発見することが、認知症の予防には重要です。少しでも「おかしいかな?」と気になったら、早めに専門医を受診しましょう。
軽度認知症と診断されたら?
軽度認知症と診断されても、必ず認知症になるとは限りません。認知機能の低下に対する適切な対策を行うことで、認知症を発症しないままでいられることも十分にあります。そのため、能力を鍛えたり生活習慣の見直しを行うことが重要です。
家でも出来る認知症の予防方法は?
残念ながら、絶対的な予防方法はありません。しかし、適切な予防方法で認知症になりにくくすることはできます。
家でもできる認知症の予防方法は、大きく分けて次の2つです。
家でもできる予防方法について大まかに紹介しました。具体例は次回に譲りたいと思います。
繰り返しになりますが、最も重要な予防方法は早期発見です。軽度認知障害の段階での早期発見を行うことにより、ご本人やご家族に合わせた早期対策を講じることが可能になるからです。気になったらまずは病院を受診してみましょう。
次回は「認知症について③ 具体的な予防対策」を掲載予定です!


- 認知症になりにくい生活習慣を心がける。
- →認知症になりやすい原因は、タンパク質が神経細胞の中にたまってしまう病気や脳の血流障害ですから、こういった病気や障害になりにくい生活習慣を心がけましょう。
- 認知症で落ちる能力を簡単なトレーニングで鍛える。
- →認知症になる前段階で、低下する脳機能を集中的に鍛えることは、発症を遅らせるための効果的な方法であるということが分かってきました。
