『高齢者が悩まれやすい膝の痛みの原因とは?』
2018年6月27日 17:37
膝関節の痛みや変形の原因は、若い時にはスポーツや事故によるケガがほとんどですが、中高年に多いのは、変形性膝関節症や関節リウマチがよく知られています。今回はこの2つの病気について、ご紹介しましょう。
①変形性膝関節症
【病態】
膝関節は、毎日体重の負担を受けながら動かしているため、長年に渡って使っていると、軟骨が徐々にすり減ってきます。高齢期に体重の増加、太ももの筋力低下などが重なると、さらに拍車がかかります。加齢に伴い、軟骨も十分に再生されなくなると、さらに軟骨の下の骨もすり減ってきます。そして関節の表面がデコボコになり、滑らかな動きが阻害されて、生じた炎症から痛みを出すのが変形性膝関節症です。日本人は内側の軟骨が減り、徐々にO脚になることが多いのが特徴です。
患者さんは1000~3000万人とも言われていて、高齢化の中、患者数は年々増加しています。特に女性が男性の2倍多いことが分かっています。
【症状】
初期から痛み、特に、立ち上がる時、歩く時、階段の上り下りなど、体重がかかる時に痛みを感じます。また膝を動かす時に引っかかりを感じることもあります。症状が進むと膝が熱を持ち、水がたまることがあります。最終的には痛みがさらに増し、関節が十分に曲げ伸ばしすることができなくなり、しゃがみ込んだり正座をしたりなど強く膝を曲げる動作が困難になります。
②関節リウマチ
【病態】
関節にある膜に炎症が起こり、関節を変形させてしまう病気です。膝だけでなく、全身の関節に発症します。変形性膝関節症のように長年膝を酷使することで関節面がボロボロのなってしまうのと違い、何かしらの原因で関節に炎症が起きるという点で違いがあり、まだ原因は解明されていません。
患者さんは70~80万人と言われ、女性は男性の3倍となっています。
【症状】
初期は関節炎に伴うこわばり、腫れ、痛み、発熱などです。関節以外にも全身倦怠感などの症状が現れることがあります。進行すると関節の軟骨や骨が破壊され、関節が変形し、さらに脱臼といった重い症状が出るようになります。
次回は、高齢期に多い変形性膝関節症の予防やなってしまった後も進行を遅らせるための運動や生活上の工夫をお話しします。



